「百年芸能祭」とは、
2023年9月に関東大震災百周年を迎えることを契機として立ち上げられた、
日本の各地で大小さまざまに繰り広げられる「鎮魂」と「予祝」の芸能祭です。
震災時に起きたこの社会の少数者に対する虐殺、迫害は、
私たちが生きるこの近代社会の命に対するあり方を象徴するものでもあります。
関東大震災以前も以降も、沖縄でも、水俣でも、東日本大震災の復興過程でも、
福島でも、ハンセン病者や障がい者や社会的弱者に対しても、
近代国家の価値観によって、命の選別が行なわれていることを
私たちはもう十分に知っています。
これまでの百年の間、周縁に追いやられ、踏みにじられ、
つながりを断ち切られ、消されていったすべての命に祈りを捧げ、
これからの百年が生きと生けるすべての命が豊かにつながり合い、
命が命であるというそのことだけで尊ばれる世界となることを予祝する、
そんな芸能の場を、「百年芸能祭」の名のもとに開いていきます。
この芸能祭は、とりあえず、2123年まで続く予定です。
みなで歌い語り踊って、その声と音でこの世界を震わせてやること。
閉塞した世界のあちこちにそうやって穴を開けてゆくこと。
それ自体が鎮魂の祈りとなり、予祝となること。
めざしているのは、そういうことです。
理不尽な力に押さえ込まれて、みずからの声も音も歌も失くしてしまった命が、
生きて、つながって、声を取り戻し、理不尽を突き抜けて新たな百年へと出発すること。
それが大事。
「百年芸能祭」は、
言い出しっぺの「百年芸能祭 関西実行委員会」の企画によるものだけでなく、
同じ想いを抱く方々が、さまざまな形、さまざまな場所で、たった一人でも、
自由に立ち上げてくださることも願っています。
これまでの百年を越えて生きてゆく「いのち」のために、
それぞれの場所で、祈りと予祝の芸能の場が開かれて、
それがだんだんと増殖して、この世にはびこりますように。